ガス自由化によってプロパンガスは安くなるの?(液石法改正 平成29年4月)

ガス自由化によってプロパンガスは安くなるの?(液石法改正 平成29年4月)

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

スポンサードリンク







いよいよ今月、4月1日から都市ガスの小売りが自由化されたわけですが、
みなさんが最も気になるのはLPガス・プロパンガスの場合はどうなるのか?という点じゃないでしょうか。

みなさんご存じのとおり、LPガスは元々自由化となっておりますので、
今回の都市ガス自由化の流れとは一見、無関係のようにも見えるのですが、
自由化の恩恵により今後ますます都市ガスへの切替が進み、プロパンガスの利用者が減少していく流れがこのまま加速するとは筆者には思えません。

ガス自由化とプロパンガス1

利用者の意識はガス代の節約へ向いていく

一概には言い切れませんが、プロパンガスを契約している方の中で、大半の方が年間で10,000円以上も損をしていると言われている昨今。

そして今回、4月1日から始まった都市ガスの自由化。
テレビでも大々的に電気とガスのセット割などのコラボ的なCMが放送されていることですし、これまでプロパンガスが高い、ということを知らなかった方や、あまり意識していなかった方も、今回の流れで自然とガス料金の適正価格や削減へと、意識を向けざるを得なくなるのではないでしょうか。

つまり、都市ガスが自由化になることで都市ガスだけじゃなく、プロパンガスも含めてガスの価格自体が気になる方が増えてくる、ということです。

そしてそうなってくると、これまでもともと、縄張り意識といいますか、縄張り制と呼ばれる風習があった地域ごとのLPガス会社が何かこれまでには無かったような新サービスといいますか、何か新しい試みをするのではないかと筆者は思うのです。

ガス自由化の恩恵を受ける都市ガスとは対照的に置いて行かれた形になっているLPガス。

いわばガス自由化に乗り遅れた形になったプロパンですが、何かの動きが今後ありましても不思議ではありません。

ガス自由化とプロパンガス2

縄張りと呼ばれる風習

電気・ガス・水道と、みなさんの生活には欠かせないライフラインですが、このうちガスだけは特殊な世界と言われています。

特にプロパンガスの市場では、嘗ては縄張りや利権などといったものが存在し、好き勝手にプロパンガスの会社(業者)を変えたり、都市ガスへの変更が容易にできない、などといった悪しき風習がかつてはありました。

今現在はそういうわけでもなくなってきてはいるのですが、それでもまだまだ地域によっては、縄張り意識に強い地域とかだと、なかなか円滑に契約や条件が進まなかったり、消費者の方が遠慮しがち、などといった状況もまかり通っているのが現実です。

ガス自由化とプロパンガス3

プロパンガス業界は「みせかけの料金」=「売り込み価格」

自由営業・自由料金ゆえに閉鎖的体制であったプロパンガス業界。
プロパンガス業界の闇は深く、これまでも過去数十年にわたり、利用者にとっては頭が痛い「価格高値安定」がまかり通ってきた世界です。

それゆえ地域ごとにガス業者が決まっていますので、消費者があまり自由にガス会社を選択できなかったり、ガスの料金が高く、ガス会社の方の対応もあまり良くない為、消費者は泣き寝入りに近い状況に追い込まれている、などといったことも一部のガス会社ではまかり通っています。

みなさんは「競争原理」という言葉をご存じでしょうか?

競争原理とは個人や企業の集団が、利益や成長のために他者と競い合い、優勝劣敗の競争をするがゆえにお互いが成長し、消費者も利益を獲得できる、といったものです。いうなれば誰でも平等に競争に参加できる自由競争市場のことで、競争相手がいるからこそ業界も発展しますし、消費者にもさらなる恩恵が及ぶのです。

ですがプロパンガス業界は「競争原理」が働かない特殊な世界でした。

いえ、これは決して競争相手がいない、というわけではなく、LPガス会社・業者同士がお互いの「シマ(縄張り)」を守るためにお互いの販売エリアへは踏み込まない、そうすることで消費者は高いプロパンガス会社につかまった場合、他に選択肢はなく、また、自分の契約しているガス料金が高いことさえ気づかないまま長年契約し、使用し続けるといった状態だったのです。

消費者の利益よりも、プロパンガス業界全体の利益を追求する体質、それが「競争原理」が働かないプロパンガス業界の実態だったわけです。

ガス自由化とプロパンガス4

平成9年の規制緩和と液石法改正

みなさんは電力自由化やTPPなどの言葉は聞いたことがありますよね。

2017年の1月20日、ドナルド・トランプ氏がアメリカ第45代大統領に就任しました。そしてTPP(環太平洋経済連携協定)から離脱するための大統領令に署名するなど、大きな話題となりました。

規制緩和といえば、最近ではTPPもそのひとつですが、そもそも規制緩和とは「規制によって守られてきた既得権益を無くす」ことがその目的です。

既得権益が無くなることで、新しく参入する企業が増えますし、消費者側もこれまでになかったような新サービスや新しい料金体系などを選択できるようになり、これまで以上に消費者が自由かつ適切な選択ができるようになることで、経済がより活性化する、ということが「規制緩和」の大きな目的のひとつなのですが、プロパンガス業界では平成9年、1997年までこうした既得権益がまかり通っていました。

ガス自由化とプロパンガス5

液石法改正 平成29年4月

液石法改正とは正式名称は液化石油ガス関係法令といいます。

いわばガス業界の法律なのですが、プロパンガスも販売自由化により一時は風通しが良くなり、業界も健全化されたのでは、と思われました。

ですが実際はなかなかそういう風には事が進まず、消費者にはお得な安い料金を提示すると言った「見せかけの料金」で顧客を獲得しておきながら、後からだまし討ちを行い、数ヵ月後あたりから一方的な料金の値上げを行う等の違法な営業が蔓延っていたのも現実です。

これゆえプロパンガス業界の闇は深い。とまで言われている所以なのです。

ガス自由化とプロパンガス・まとめ

それで結局、プロパンガス料金はガス自由化で安くなるの?

2017年4月からのガスの小売販売価格の自由化は、あくまでも都市ガスのみを対象とした話ですので、多くの方が勘違いをされていますが、今回、プロパンガスは直接的には関係ありません。

ですのでガスの自由化がなされたからといって、すぐにプロパンガスの料金も安くなる、というわけではありません。

とはいえ今回のガス自由化で少なからず影響を受けるのは必至ですので、プロパンガスの業界としても黙ってみているということは考えられません。

といいますのも、都市ガスの利用者の方はこれまでとは違い、決まられたガス会社だけではなく、どこの業者でも自由にガス会社を選べるようになったわけで、やり方次第によってはガス料金の一番安いところとも契約ができるようになったわけです。

そうなってくると当然、直接的には都市ガスとプロパンガスは互換性がありませんが、各ガス会社の競争自体が激化されることは容易に想像がつきますので。今後今までよりもどんどんガス料金が安くなってくることが考えられるわけです。

そして都市ガスが自由化されるとこれまで以上に、都市ガスの普及が進みますので、プロパンガス業界としましては、今後ますます市場規模が縮小されるわけです。

価格が安い都市ガスの利用者が増え、どんどん都市ガスへの切り替えが進むと、今後プロパンガス会社は、非常に苦しい立場に立たされることになります。そうなりましたらプロパンガスは安くしないと生き残れませんし、これまでにない新たなサービスが生み出されるなど、間接的にではありますが、今回の都市ガス自由化に倣って、親しいような割引や低価格競争、サービスなどが出てくることも考えられます。

以上が筆者が思う、ガス自由化によってプロパンガス業界も安くなるのかどうか?についての所感です。


スポンサードリンク